この記事ではCPUグリスの選び方から塗り方、メンテナンスまでパソコンの性能を最大限に引き出すための重要なポイントをわかりやすく解説していきます。
「CPUグリスはなんでもいいのでは?」そう考えている方も多いかもしれません。しかし、選び方を間違えると、パソコンの性能低下や最悪の場合は故障の原因にもなってしまうんです。
CPUグリスには様々な種類があり、それぞれに特徴があります。シリコングリスやセラミックグリス、高性能なダイヤモンドグリスなど、パソコンのスペックや用途に合わせて最適な選択が必要なんです。
CPUグリスの基礎知識から、正しい選び方、効果的な塗り方、そして長期的なメンテナンス方法まで詳しく解説していきます。これらの知識があればパソコンの冷却効率を最大限に高め、快適な作業環境を実現することができます。
CPUグリスの重要性
みなさんは、CPUグリスがどんな役割を果たしているかご存知ですか?CPUグリスはCPUとCPUクーラーの間に塗る熱伝導性の物質なんです。
高負荷時には70℃や80℃にもなってしまうCPUの熱を、効率よくCPUクーラーに伝えるという大切な仕事をしているんですよ。
CPUグリスがないとCPUとCPUクーラーの接触面に目に見えないような小さな隙間ができてしまいます。そこに空気が入り込んでしまうと、熱が逃げにくくなってパフォーマンスが低下したり、最悪の場合は故障の原因になったりするんです。
だからこそ、CPUグリスでその隙間をしっかりと埋めて熱を効率よく逃がすことが大切なんです。
CPUグリスの種類と特徴
CPUグリスには実にさまざまな種類があって、それぞれに個性があるんです。ここでは代表的なものをご紹介していきましょう。
シリコングリス
シリコングリスは耐熱性、耐寒性、化学的安定性に優れた万能選手です。標準的なスペックのパソコンに向いていて、お手頃価格で手に入れやすいのが魅力ですね。
セラミックグリス
セラミックグリスの特徴はとても高い熱伝導効率なんです。小さな粒子がぎっしり詰まっているので接触面積が大きく、熱をムラなく伝えることができます。
ナノグリス
ナノグリスはシリコングリスに高性能のナノパウダーを配合した製品です。とても小さな粒子がびっしりと詰まっているおかげで、熱伝導率が優れているのが特徴となっています。その上、塗りやすい形状になっているものが多く、ノートパソコンなどの細かい部分にも使いやすいんです。
シルバーグリス
シルバーグリスは名前の通り銀を含んでいるグリスです。銀には優れた熱伝導性があり、CPUとクーラーの間で効率よく熱を伝えて、冷却性能をグッと高めてくれます。
一般的なシリコングリスと比べると全体的に熱伝導率が高くなっているのが特徴。特に、オーバークロックや負荷の大きな作業をする時に冷却効率を上げるために重宝されています。
ダイヤモンドグリス
ダイヤモンドグリスはダイヤモンド素材を利用したCPUグリスで、金属以上の熱伝導率を誇ります。
確かに他のグリスと比べると価格は高めですが長時間保存できる上に固まりにくいという素晴らしい特徴があるんです。Core i7以上のCPUが搭載された高性能なパソコンでの使用に向いています。
CPUグリスの選び方
CPUグリスはパソコンのスペックや使い方によって最適な選択が変わってきます。ここからはスペック別の選び方をご紹介していきましょう。
標準スペックモデルの場合
パソコンのスペックがCore i3くらいの標準的なものなら、シリコングリスで十分対応できます。お手頃な価格で手に入るシリコングリスは普段使いには十分な性能を発揮してくれますよ。
ミドルスペックモデルの場合
Core i5程度のミドルスペックのパソコンではシリコングリスでも基本的には問題ありませんが、3Dゲームなど負荷の大きな作業をする場合には注意が必要です。フリーズしてしまう可能性もあるので、冷却効果の高いシルバーグリスを使うのがおすすめです。
ハイスペックモデルの場合
Core i7以上の高性能CPUを搭載しているパソコンにはシルバーグリス以上のグレードを選ぶのが定番となっています。
さらに、シルバーグリスの中でもダイヤモンド素材が入っているタイプを使えば冷却性能がさらにアップします。こういった高性能グリスを使用すれば、熱によるフリーズを気にせずにパソコンを思う存分使うことができます。
CPUグリスの性能指標
CPUグリスの性能を表す主な指標として熱伝導率があるんです。熱伝導率は「W/m・K」という単位で表されていて、この値が高ければ高いほど熱を効率的に伝えることができるんですよ。
標準的なシリコングリスの熱伝導率は0.9W/m・K程度なんですが、パワフルな高性能グリスだと10W/m・K以上のものも存在します。熱伝導率が高いグリスを使えば使うほど、CPUの熱をグングン逃がすことができるんです。
ですが、熱伝導率だけでなく以下の点も見逃せません。
粘度
グリスの塗りやすさを左右する大事な要素です。粘度が低いと塗布作業がスムーズになりますが、あまりに低すぎると塗った後にツルツルと流れ出てしまう可能性があるので要注意です。
絶縁性
絶縁タイプのグリスなら、もしも不運にも基板に付着してしまってもショートのリスクを減らすことができます。PCいじりに慣れていない方や、塗布に少し不安がある方は安全第一で絶縁タイプを選ぶのがおすすめです。
持続性
時間とともに性能が低下していくのがグリスの宿命。そのため、定期的な塗り直しが必要になってくるんです。長持ちするグリスを選べば、面倒なメンテナンスの回数を減らすことができますよ。
CPUグリスの塗り方
グリスの塗り方一つでその効果は大きく変わってきます。ここでは一般的な塗り方をご紹介します。
ヘラ塗り法
専用のヘラやカードなどでCPU表面全体にグリスを広げていく方法です。この方法のいいところはグリスを均一に塗ることができ、理想的な厚みを実現できる点です。
点塗り法
CPU表面に米粒くらいの大きさでグリスを載せ、そのままCPUクーラーを装着して圧力で押し広げる方法です。手軽な方法ではありますが、グリスが均一に広がらないケースもあるので注意が必要です。
どちらの方法を選択しても最も大切なのは「グリスは少なめに、でも全面をしっかりカバーする」という点です。グリスを使いすぎてしまうと逆効果で熱がこもってしまい、冷却が不十分になってしまう可能性があるんです。
CPUグリスのメンテナンス
パソコンの心臓部とも言えるCPUのメンテナンス。その中でも大切なのがCPUグリスの管理なんです。経年劣化は避けられないため、3年に1回くらいの塗り直しが望ましいとされています。
みなさんも一度は塗り直しに挑戦してみませんか?その際は、以下の3つのポイントを押さえておくと安心です。
古いグリスの除去
まずは古いグリスをキレイに取り除くところから始めましょう。アルコールなどを使って、CPU表面をていねいに拭き取っていくのがおすすめです。
適量の塗布
新しいグリスを塗る量は多すぎても少なすぎても冷却効果が下がってしまうんです。米粒1つ分くらいの量が目安になりますよ。
気泡の混入防止
グリスを塗るときは気泡を入れないように慎重に。空気が入ってしまうと、せっかくの熱伝導率が低下してしまいます。丁寧に作業を進めていきましょう。
CPUグリスの価格帯
CPUグリスの値段は性能や容量によってかなりの幅があります。一般的なシリコングリスなら数百円で手に入りますが、高性能なシルバーグリスやダイヤモンドグリスになると、1,000円を超えることも。
とはいえ、値段が高いからといって、必ずしも自分のパソコンに最適とは限らないんです。パソコンの使い方やスペックに合わせて、ぴったりなグリスを選んでいくことが大切です。
CPUグリスの選択肢
市場には実にさまざまなCPUグリス製品が並んでいます。ここでは、人気の高い製品をいくつかご紹介しますね。
ARCTIC MX-4
幅広いユーザーから支持を集める、いわば定番中の定番グリスです。複合メタルの採用で熱伝導率が高く、安定した性能を誇ります。熱伝導率8.5W/m・Kという数値はかなり優秀な冷却性能を示しているんですよ。
Thermal Grizzly Kryonaut
オーバークロック好きの方にぜひ試していただきたい高性能グリスです。熱伝導率12.5W/m・Kという驚異的な数値を誇り、水冷でも空冷でも素晴らしい効果を発揮します。
サンワサプライ TK-P3D
ナノダイヤモンドパウダーを配合した日本製の高性能グリス。熱伝導率8.3W/m・Kという優秀な性能を持ちながら、扱いやすさも考慮された製品です。PCパーツの取り扱いに不安がある方でも安心して使えますよ。
AINEX JP-DX1
ナノダイヤモンド配合で熱伝導率13.2W/m・Kという驚きの性能を実現。ハイエンドCPUの冷却に最適で、絶縁タイプなので安心感も抜群です。
CPUグリスの実験結果
興味深い実験データがありますので、ご紹介させていただきます。高級グリス(TF8)と安価なグリス(TK-P3)を比較したものです。
TF8の熱伝導率が14.3W/m・K、TK-P3が0.9W/m・Kという結果が出ています。この圧倒的な差は、実際のCPU温度にも影響を与え、TF8を使用した方が温度が低くなりました。
とはいえ、温度差は数度程度。使用環境や負荷によってはそこまで大きな違いを感じられないかもしれません。つまり、必ずしも高価なグリスを選ぶ必要はないということですね。
参考サイト:https://mogalabo-gaming.jp/tf8-vs-tk-p3/
CPUグリスの注意点
グリスを使用する際は、いくつかの注意点があります。以下のポイントをしっかり押さえておきましょう。
導電性
シルバーグリスのような金属粒子入りのグリスには導電性があります。マザーボードや他の電子部品に付着すると故障の原因になりかねないので、細心の注意を払って作業を進めましょう。
塗布量
「少なければ少ないほど良い」というのは間違いです。しっかりとした量を塗ることが求められます。塗りすぎると熱がこもってしまい、逆効果になることもあるんです。
経年劣化
時間とともに劣化は避けられません。劣化したグリスは冷却効果が落ちてしまうので、3年に1回くらいの塗り直しをおすすめします。
互換性
特定の材質と反応してしまうグリスもあるんです。特に気を付けたいのが液体金属グリス。アルミニウム製のヒートシンクと反応して腐食を引き起こす可能性があります。事前によく確認してから使用するようにしましょう。
まとめ
CPUグリスはパソコンの性能を最大限に引き出すための重要な部品です。CPUグリスの選び方から塗り方、メンテナンスまで、詳しく解説してきました。
主なポイントをまとめると
- CPUグリスにはシリコン、セラミック、ナノ、シルバー、ダイヤモンドなど、様々な種類があり、それぞれに特徴があります。
- パソコンのスペックに合わせた選び方が重要で標準スペックならシリコングリス、ハイスペックならシルバーグリスやダイヤモンドグリスがおすすめです。
- 塗り方は「ヘラ塗り法」と「点塗り法」があり、均一に塗ることと適量を守ることが大切です。
- メンテナンスは3年に1回程度の塗り直しが推奨され、古いグリスの除去や気泡の混入防止にも注意が必要です。
- 価格は数百円から数千円まで幅広、必ずしも高価なものが最適とは限りません。
あなたのパソコンに最適なCPUグリスを選ぶ際は使用環境やスペックを考慮しながら、この記事で紹介した選び方のポイントを参考にしてみてください。定期的なメンテナンスを行うことでパソコンの性能を長く維持することができます。
まずは自分のパソコンのスペックを確認し、それに合ったCPUグリスを選んでみましょう。適切な選択と管理で快適なパソコン環境を実現できるはずです。
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